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タイトル未定2025/02/13 12:04
「……」
「何か言ったらどうだい」
表世界、黒霧邸に見覚えのある男が待ち構えていた。
No.の恐らくボスであろうトーマスだ。
傍らにはお仲間は見当たらないけれど、どこかに潜んでいる可能性はある。
私はバックから錬金物を地面に転がした。
「刹那を駆けろ、風よ、風よ、風よ!」
クレアちゃんが詠唱をしてまで魔力を練り込んで問答無用で風魔法を放つ。
収縮された風は螺旋を描き目視できるほどの大気を圧縮している。
しかし、それはトーマスに届くことは無かった。
「なっ!?」
クレアちゃんが驚愕に目を見開いて信じられないと暗に言っている。
「おぉ、怖い怖い。私は先に行くよ。必要なんでね」
「お前はそうやってまた人を犠牲にするのか!」
「言ってるじゃないか、必要、だと」