誓い
「話すと長くなります。今度にしましょう。でも、心に留めておいてください」
「それは、ティアを警戒しろって?」
少しばかり聞き捨てならないなあ。
いくら私に宿っているし、力を借りているとはいえ、彼女だけは悪く言ってはいけない。
血管が着れそうな程に、イライラしている。
ティアマトの誕生秘話を聞いたとて、それに驚いたとて、それは些細なこと。
「そうです。彼女はまだまだ未熟。しかし、未熟な身であって、本来成し遂げては行けないことを次々と行っているのですよ」
「天才なんでしょ」
ティアマトには人の心の機微には疎いのかもしれない。
私の怒りにまるで気付かない。
私は無意識だった。
ティアマトの首に手をかける。
そこでようやくティアマトは自分の失言に気付いたようだ。
それでも焦るでもなく、両手を上げて抵抗の意思は見せませんと、ボディーランゲージを示す。
たった1回の些細な言葉の欧州で縮まった距離は開く。
「そんな言葉で片付けて良いものか。押し問答になりそうです。ならば、敵に回らぬよう。譲歩です」
「フンッ、言われなくても。それは初めて会った時に決めた事よ」
ティアマトは言い方が悪かったと其の部分の非は認めるも言葉の撤回はしない。
私の仲にティアマトを戻す。
胸に手を置いてその相手を見ながらサークルを出る寸前にその言葉を風に乗せる。
私の誓いだ。