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新たな真実
「私は嬉しいのですよ。元々はただの風」
目を伏せて静かにティアマトは心の内を吐露し始めた。
ティアが退屈になったのか、こっちに寄ってくるとティアマトが片手を上げてティアを吹き飛ばした。
唖然とする。
ただ、手心は加えてくれたようで壁に激突する直前にクッションに弾かれたようにふわっと着地させる。
私以外に聞かせたくないらしい。
心配そうにティアを見れば、ティアマトがムッとした表情をする。
そんなことで嫉妬しないで欲しい。
何だか板挟みになってしまった。
「コホン。結論から言いましょう。神獣や聖獣なんてものは居ません」
「?だって貴女は……っ!まさか」
「はい。だから余計にあの錬金術士には聞かせられない。魔力を宿した意思ある生き物はすべて」
「創世術士が生み出したのです。いえ、創り出したのです」