しがらみ
「なんと!」
驚きです!最近は弱々しい魔力がようやく感じれる位の進歩だったのもが、いきなり魔法を使えるようになんて。
「……大丈夫、大丈夫。落ち着け私。嫉妬するなするなするな……ずるい!!」
クレアちゃんは深呼吸を何度かしてから自己暗示のようにブツブツ言っていましたが、自制心をぶち破るほどの嫉妬を私に向けます。
なんだか懐かしい目線です。
「えへへ」
「あーもー!羨ましい!!私が死ぬほど努力して会得した魔法も、『起源の魔法』なら超えてく!うー、うーー!!!」
昨日までの大人びた印象を持っていた生徒達はいきなり年相応の態度を見せるクレアちゃんに目を白黒させています。
「まあ、コイツならむしろ今まで持ってなかったことの方がおかしいと思っちまうけどな」
空はなんとも言えない表情を向けてきます。
驚きはないようですけど、釈然としない。そんな感じです。
「そんな大きな変化があったら私は、私の目は見逃さないと思うのになぁ」
ソフィーさんは、あれあれ?と首を傾げています。
ソフィーさんほどの星読みならば1人の大きな転換点や、変化なんかは感じ取れそうなものですけど。
そう考えると不思議がいくつも残りますね。
「やったー!と、思うんですが、この事って公表するべきなんですかね。自意識過剰ですかね」
あれこれと依頼に追われてストレスを抱えたところに1点集中できそうなことが増えたのは嬉しいですけれど、言うべきなのかはよく分かりません。
個人的には誰かが『起源の魔法』を貰いましたと言われても、はいそうですか。で終わるからですね。
しかし、燈火さんや、クレアちゃんはそう思ってないようで。
「どーする?」
「いわゆる、ティア組には伝えたとして大物にバレると面倒事が増えかねないわよ。と、言うことで、契約をします。そこのデカブツのことよ」
「……俺は態度でバレる。いっそネクに伝えて契約を結んだ方が、いいと、思う」
「そうすんなり行けばいいけど。とりあえずは他言無用よ」
「……分かった」
「……本当でしょうね」