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本人だけ
「朝から忙しいわよ」
どこか楽しげにそういうクレアちゃんは足取り軽く私を中に浮かべたままダイニングエリアへ運んでいきます。
クレアちゃんの風魔法はなんというか、柔らかくて眠くなってきますね。
ふぁぁ、とあくびが漏れてそのまま眠って………
「皆起きてるわね?」
クレアがドアを開けるなりそう訪ねて全員を見渡します。さすがに人数も多くかなり広い部屋なのに狭さを感じる。
「あの、寝てますけど……」
冬華はここにいる人達の地位も名誉も知らないので恐れ知らずに見える。
フラスコの生徒たちはコイツやべぇ。こいつもヤベェ?というリアクションを静かに取っている。
指摘され振り返るとすやすやと天使のような寝顔。
ムギュっと顔を潰してやれば「い、いひゃいです〜」とバタバタして、それをしているのがここのボスで、そんな人がこんなにも可愛くて、それが可笑しくて皆笑いあった。
「へ?」
本人だけは全く状況が呑み込めていないようだけど。