黄色い情報屋
「!!……なにっ!?」
「俺の後ろに!」
「何よコレ、時空の裂け目?」
「不味い、均衡が崩れる」
「結構アトリエから離れちまったな」
「道中何もいない訳ね……」
「ミルクショコラ、上空から警戒を」
「どーするよ」
「均衡がって言ったわね。詳しく聞かせてもらえるのかしら」
「緊急時ですからね。先ずは少し奥へ行きましょう。そこの方が安全です」
「ミルクはここで外の警戒を、ショコラはこっちでいざという時のために待機。30分交代よ」
「ティアさんは本当に素人かい?」
「理解が追いつかないだけです」
「警戒は続けて。魔物の正体からね、少し端折って話すのは許してね」
「非常時、だからね」
「ありがとう。魔物の正体は悪意よ。意思あるのもの悪感情の具現化とされてるわ」
「ってことはあれか?人間が悪いのか?なんかそれって、えーと、マッチポンプ?」
「地球に対する認識が甘いのよ。地球は生命の元よ。人間で言うところの脳であり、心臓。考えもしなかったでしょ?」
「証拠、というか、証明が無いことは考えにくいのよ、凡人には」
「……地球の裏世界は深層部分があるって言ったわね、そこのどこかには12本の柱と2つの鐘があるとされてるわ」
「確証のない言い方ね?」
「……仕方ない。他言無用ね」
「また禁忌か?」
「ある意味ではね。私は統括会を憎んでいる色の魔法使いよ」
「ええ!?な、何色……いえ、もしかして」
「クレアさん、アナタは二ーヴァに預けるには勿体ないわ。改めて、私は黄色の魔法使い、燈火のクローンよ」
「燈火は星座の魔法使いじゃ」
「黄色が何を示唆しているか分かる?」
「雷……電気信号、記憶に関するのね」
「そう。故に世界を知っているわ。燈火は世界をこうあるべきと作って、そして、滅ぼそうとしているのだから」
「壮大な話になってきたな」
「それに、創成者が関係するの?」
「分からないわ。ティアさん、私がネックレスを願ったのはオリジナルと信号を途絶えさせる為なの」
「今こんなに喋ってていいのかよ」
「今は、いいの。オリジナルがこっちに意識を向ける余裕がなさそうだからね」
「催促しに来たのって時間があんまり無いのですか?」
「ええ、後1週間ってとこ」
「ま、私はやることは変えないわよ。ティア、結構深い所まで来たけどモノクルで代用品はないか見てちょうだい」
「あ、はい」
「モノクル?創成物……初めて見たわ」
「どんな物なんだ?」
「アレは物を属性とレベル、それと錬金術の合成が分かるそうよ。私には属性しか分からなかったから適性が必要みたいだけどね」
「商人は喉から手が出るほど欲しがるでしょうね」
「ダメです、形と、付加価値を付ける魔石はゴロゴロ有りますけど、肝心の核となる魔石にはレベルが足りません」
「ブレッド、来なさい。実践です」
「どこ行くのよ」
「長居はしたくない、魔石は欲しい。裂け目があってはもう一度潜ることは難しいでしょう。ならばこっちから魔物を狩ります」
「そんな事」
「出来ます。腐っても色の魔法使いです」