フラスコ
フォールスは話の途中で大きめのフラスコをドンッと雑に長テーブルに置きました。
ガラス製で、かつ話を聞く限りだと危険物なのに取扱が雑すぎるあまり、燈火さんが顔をひきつらせます。
錬金術の道具と言っていましたが、フォールスが取りだしたものは何の変哲もないガラス製のフラスコにしか見えませんでした。
なにか特別なものがあるのかもしれませんが、それがどんなものか私には理解できません。
観察眼だったりの経験値の不足というものを痛感します。これがもし、師匠だったり兄弟子ならば分かっるものなんでしょうね。
本人たちがいない所で力の差を理解してしまうとはなんとも腹ただしい。
「その中身は黒霧なんだろ!?なんでぞんざいに扱うんだよ!」
空がごもっともの意見を言いました。
札を手に持っていますが、フラスコがどういう類なのか分からないからか、アクションを起こすことは無いですが。
魔力などを探知して大爆発でもしたらシャレになりませんからね。空の命が。
空はちゃっかり自分だけに防護の札を過剰に貼り付けていて、ティアは気付かなかったが、燈火は分かっていた。冷ややかな目はフォールスから空へ向けられる。
空は燈火にへつらう様に笑っている。余計に琴線に触れて様で、「次、舐めた真似したら……殺すから」と。
ああ、冗談じゃなさそうです。
「それにしても、なんなんですか」
「そうよ」
「このフラスコ!」
「違うわ、ティア。今はその中身の方が重要なのよ」