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魔法の残滓
日本で怪奇事件があると聞きつけてその現場を見て回っていた。
被害者は当然居ないが、残滓は残っている。
魔力の残滓。
普通ならば魔法を行使したあとは魔力は燃やし切るため、残滓は残らない。
よっぽど下手か大規模の魔法の場合じゃないと残らない。
路地裏、薄暗く不潔な場所。
ゲロがぶちまけられ、ネズミがチョロチョロとしていて臭いその場所に、それらが気にならなくなるほどの濃い残滓が滞留していた。
魔法使いは違和感を視認することは出来る。
一般人は嫌な感じ、気配と言った具合だろう。
まあ、それも一昔前の感覚で、今や『魔法』という神秘は知れ渡ってしまっている訳だが。
むせる様な残滓をどこぞの錬金術士が作った『永久保存のフラスコ』という道具を使ってこの場所の残紙を全て回収した。
「……のが、コレだ」