発現
「空、説明」
こういう押し黙って、重い空気の時は悪いこと。
それに、結界があるから悪意は無いかもしれないけれど、抜け道なんていくらでもある。
ノアと名乗った少女もそうだ。
燈火さんが睨みを利かせているし、ソフィーさんもじっと見ている。
それはノアという少女なのか、その先なのかは後で聞くことにしましょう。
「えっと、どこから……」
弱々しい声で縮こまって貰っても困りますし。
なんかめんどくさいなぁ。
はぁ、と大きなため息を吐く。
最近はどんどんと目的が遠ざかっていく気がしますし、その度に別の問題も芋ずる式に増えて困ります。
そんな苛立ちが含まれたため息は空にはトラウマか何かを連想させた様で、ヒュッと息を飲むことが聞こえました。
大袈裟な、そう思って重くなった首を空に向ければ、ガタガタと震える始末。
なんなんだこのエセ陰陽師はと呆れます。
「ねぇ、ティア」
「どうしました」
「あんた、魔力漏れてるわ」
「魔力?」
「微弱だけど、質が良すぎる。冷た過ぎる」
「理解できませんけど、どうしたら?」
「イライラするのをやめなさい。話を聞く前に相手を萎縮させすぎよ。いくらなんでも空でも、可哀想よ」
「あの、本当に分かってないんですか?」
「ソフィーさんまで」
「『起源』みたいってこと。私の乃愛と一緒。つまり化け物見たいってことよ」
「私が起源の魔法使いだとでも?」
「そうじゃなきゃ魔力に冷気なんて宿らないでしょ」
「はぁ〜。分からない……」
「聞いて」
燈火さんが、手を叩き注目を集めて言います。
「各々疲れたでしょう。明日にするわ。それと、生徒達は1度戻します」