738/896
ハロー、ノアだよ
「ハロー、ノアだよ」
手を顔の横で小さく振って挨拶してきたのは、知らない人でした。
黒髪は私と同じくらいの長さ。腰までサラサラと流れています。
白のワンピースにはフリルがふんだんにあしらってあります。
少女が少女らしさたらしめる可愛さを感じます。
しかし、そんな呑気なことを考えているのは私だけのようで、他の皆さんは剣呑な雰囲気を隠しません。
「おや、聖騎士さん」
「……フォールスだ。その、なんだ。……なんかスマン」
バツの悪そうにするフォールスさんですが、全く事情が呑み込めません。
マリーは口を抑えているのにも関わらず、「で、伝説上の人……!」と驚いている様子。
それに、他の生徒たちがヒソヒソと、キャッキャッとはしゃいでいます。
どうやら、マリー以外は一通り驚き、感激したあとで少し落ち着いてきたところだったらしいです。