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初歩、魔弾
「魔法使いとしての初めの魔法、魔弾」
冬華に対して彼女が多少なりとも理解出来るように説明しながら魔法を行使する。
迫るドラゴンモドキは一直線で飛んできているだけの単調な動き。
サッとしゃがみ、すぐさま鱗の薄い腹に上に飛ばすだけの威力で魔弾を振るう。
(うーん、どうしても風属性が乗っちゃうわね)
本来ならば白い靄が少し認識できる程度の初歩魔法なのに、ティアマトの影響か、緑がかり属性を持っている。
まあ、マリーはともかく冬華には気付けないからいいや。
「魔弾に詠唱や、呪文は必要としないわ」
上空に上げられたドラゴンモドキには見向きもせずに冬華に説明を続ける。
ティアは、まあ、私のやることなすことに大袈裟に反応するからいつも通りなんだけど、マリーはダメね。
実戦経験が少ないと見た。
たったこれだけの事にティアの教え子たる者が驚いていてどうするのだと憤りを覚えた。