旧華の都京都
「……アトリエを作ります」
「は?」
「話が見えてこないよ」
「不安定なのが悪いと思うんです。ほら、余裕がなければ人は人を助けられない」
「それでどうにかなるのか?」
「誰がやるの」
「まーた、何も思いついてないんでしょ!」
「形から入りましょう!」
「華の都京都とは思えないわね」
建物は崩れている場所が多数で、昔ながらの観光地としては機能していない。
世界は遊んでいる余裕はなくなったのだから。
その中で、必死に声を上げて笑顔を振りまいて集客をしている少女が居た。
「あの、こんにちは」
「い、いらっしゃいませ!」
「ここは?」
「お茶と珈琲、和菓子を提供する、和洋折衷の喫茶店です!」
元気よく紹介して、顔色を伺っている。
ニッコリ笑顔を返して店に入れてもらうことにしました。
私とクレアちゃん。それにマリーを連れてきています。マリーには後で生徒たちへ情報共有をして頂きます。
「何かと物騒ですよね」
クレアちゃんが、チラリと外を見て言えば、メニューを開いてテーブルに置いて悲しそうな表情を見せる。
「どうしてこうなってしまったんでしょうね」
「魔法を信じる?」
「えっ!?クレアさん!?」
クレアちゃんがいきなり核心を付く。
マリーは口に含んだ水が気道に入ったのかゴホゴホと咽ながらクレアちゃんに驚愕の顔を向ける。
「な、何を言って」
後退り、気味の悪いものを見たように怯え、さっきまでの愛想はなりを潜める。
「ティア、なんか可愛いの」
「仕方ないですね……」