クレアちゃん。教えて
「しかし、困りましたね」
これまでも1つを受けていつの間にか枝分かれして複数を解決する羽目になったことはありました。
けれどそれらは1つに集約される。
「今回が同じだと?」
「分かりませんけど……」
燈火さんが聞いてきますが明確な答えはもちあわせていません。
「ねぇ、なら。私がそれらを一つにまとめてしまえばいいんじゃない?」
周りの顔を伺い、聞き役に徹していた夜見さんが声を上げます。
彼女の魔法は書籍に記したフィクションをノンフィクションに変えてしまう魔法。
それを逆手にとってひとつの答えまでまとめてしまう。それができるなら効率的に動けますかね。
「成功率は?」
クレアちゃんが少しなりを潜めていた棘を生やし夜見さんへ聞きます。
言外に含まれる圧と、漏れ出た魔力で萎縮させてしまっています。
魔法使いとしての優劣の1つとして。魔力量が挙げられます。
簡単な話、10の魔力を持つ人と1000の魔力を持つ人の比較では10の人がどれだけ魔法の種類を覚えていようが、どれだけ属性を持っていようと魔力の質量、たったこれだけで押しつぶされてしまう。
まさに今目の前で起こっているように。
クレアちゃんを燈火さんとソフィーが宥め、夜見さんを支える無垢さんと梅ちゃん。
「クレアちゃんは何をそんなに怒ってるの?」
イライラしている理由がわからない。
これも魔法に関する常識とかが絡んでいるのでしょうね。イマイチ半人前にもなりきれませんね。
「アンタは……っ!……はぁ」
クワッと喰ってかかるクレアちゃんは、固く目をつぶって何かを飲み込み、息吐き、落ち着きを取り戻しました。
私に対しての苛立ちでしょうけど、どうしてもクレアちゃんが私を見る時には心配が隠しきれません。
これはいくら私が大丈夫と言っても聞き入れられない事。だから、
「クレアちゃん。教えて」
「分かったわよ。私の危惧してる事を話すわ。きっとここにいる全員が少なからず思ってる事よ」