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黒霧の龍
ティア達が屋敷であーだこーだと騒いでいる時、別の場所では根源に関わることが起きていた。
「魔力の異変を感じて来てみれば案の定か」
神と至った人間、咲。
かつての緑の魔法使いはかつての願望すら忘れてしまった。
それでも守護者として現存するからにはその役目から逃れることは出来ない。
人間は魔法を使っても化けられるのは限られる。自分より弱い物。それだけだ。化けると心が引っ張られるから、化ける対象より自分が強くなくては、魔物に変わり果てることもある。
それを踏まえて、龍になるなんて、そういう魔法か、魔道具か、それとも龍より強いのか。どちらにしろ厄介この上ない相手というのが分かっただけだ。
今回の相手は実体があやふやな上に龍に化ける程の魔力持ち、意識がハッキリしてるのかも怪しい。
「燈火ぐらい来てくれても良いのに……。全く」
咲が、神器の杖を地面突き、有無を言わせない覇気を纏う。