熱砂の泥人形
湯気がもくもくと全身から出る所謂ゴーレムが白銀へ襲いかかる。
緩慢な動きは簡単に躱される。
「うーん、へなちょこ」
ドシンと質量だけはあるパンチを地面に当てると大地が少し揺れる。
ゴーレムが体勢を戻す前に、白銀がゴーレムの腕に切りかかる。
「え……」
「この『熱砂の泥人形』は熱そのものに年度の性質が加わった物ですからね。簡単な話です。鉄は熱で溶ける」
白銀の持つ刀は柄の部分から先が溶けて無くなりました。これで武器は封じれましたね。
油断大敵って奴です。
「いやいや、どんな温度してるのさ!危ないでしょ!」
「じゃあ、この『熱砂の泥人形』は置いておくんで、失礼しますね。白銀、最後に何しようと思ってるんですか」
「自身を成長させることは悪なのか?」
「手段が悪ですね」
ミルクショコラで戦う必要がなくなったので、空間の同一化でさっさと陰陽局へ戻ります。
「いやー、かなり危なかったですね。こんなにも治安が悪いとは」
「た、助かったわね。不甲斐ないわ」
「そんな!クレアちゃんが来てくれなかったら道具を使うことができませんでしたよ」
「そうよね。金輪際、1人で出歩かない事!良いわね!?」
「うぅ……すみません」
「後で燈火にも詰め寄らなきゃ!」
肩を貸してよろよろと歩きながら陰陽局へ向かうのですが、燈火さんへの恨みつらみが止まることがなくブツブツと垂れ流しになっているクレアちゃん。
燈火さん、申し訳ないです。