魔法使いの書
「まあ、入ってちょうだい」
「日本家屋って感じ!」
「随分と大きい家をお持ちなんですね」
「家、とはまた違うかな。梅ちゃんは統括会は分かるよね。そこの2人は?」
「私は名前だけ。父親がよくその名前を言うので」
「私は白の代行者だよ!」
「という事は魔導図書?」
「両方!」
「ティアさんみたいなのが他にもいたなんてね。まあ、知らないのは明亜さんだけね。見た方が早いわ」
普通の平屋に見える。その玄関を開けると少し違和感を感じる、夜見。
「元々は見た目通りの大きさだったんだけどね。ティアって言う錬金術士が『拡張』したのよ。今さっきね」
「……やっぱり」
「ん?」
「ティアって言う錬金術士?は黒髪黒目の日本人ですか?」
「ええ、そうね。知ってるの?……知らないわけないか」
「その人に頼みがあるんです!」
「まぁ、とりあえず落ち着ける所へ行きましょうか」
「それで?」
「私は明亜夜見。魔法使いの見習いに当たります」
「私は紗永無垢。ご主人の同居人だよ」
「今は名前で呼びなさいって!……コホン。私は小説家ですが、その描いた小説の一部が現実で起きてしまうんです」
「だから現実改変ねぇ。貴女の力はとても弱いと思うけど」
「……コレを」
「貴女の小説?読む時間はあいにく無いんだけど……」
「題材は無から有を生み出す魔法使いのお話です。そこで秘匿されていた魔法を世にばらす場面があります」
「……聞いたことのある場面ね。頭が痛くなってきた」
「……で、ですね。その、次の話を描いていたんですけど」
「自覚があるなら小説家をやめなさいよ。危ないわね」
「辞めたら生きて行けません……」
「次の話ではその、前作の魔法使いを殺しちゃったんですよ。あはは」
「……はぁ!?」