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日ノ本梅と魔法使いの書
「あのっ!」
夜に差しかかる時に、聞いたことのあるような声がする。
陰陽局の建物から門へ続く道を歩き、門を開ければ長い刀を持った少女が緊張しながら立っていた。
それも、3人も。
「……アナタは、日ノ本梅」
「結界が強すぎますよ」
「何か用かしら」
「私の知り合―友人が会いたがってます」
「お生憎様だけど、ティアは」
「いえ、あなたにですよ。黄色の魔法使い」
「はっ、初めまして明亜夜見です。私は小説家であり、現実改変が出来きてしまう」
「含みのある言い方ね。それに、私の知らない能力なんて……」
「ね!凄いよね!」
「アナタは?」
「紗永無垢。しがない魔法使いよ!」