クレア、ソフィー、グロリアス
時は少し遡る。グロリアスに詰め寄っているクレアとそれを見ているソフィーに同時にズキンと頭痛が走る。
「いっ……」
「……クレアさん!ティアさんが危ない」
「それは星詠みか。我らが王様はいつも危機に陥ってるな。ナイト様はこんな所にいるしなぁ?」
「何よ、今すぐ殺してやろうか!」
「ひっ、う、嘘だよ。冗談だよ、おっかねぇな。それに俺は替えがきかないんだぜ?そういう奴らの集まりじゃねぇか」
「ウギギギ……!!」
「クレアさん!そんなのの相手してる暇無いですよ!急がないと!」
「そうね!……何処に急ぐのよ!?」
「日本へ行ったぞ。裏世界ではあるけど。ほら、陰陽師のなんて言ったか。……空?に連れられてさ」
「ソフィー、正確な場所!」
「……普通の街並みに居ました、そこは表世界ですよ!」
「じゃ、一足先に行くわ。陰陽局に言ってて。また、慌ただしくなるわ」
「はい」
「いやいや、一足先って瞬間移動でもする気か?」
「ええ、そうね」
クレアは白と黒が格子状に描かれた手のひらサイズの球体を目の前に投げつける。
何かにぶつかる前に空間に溶け込んで歪み、『移動』の力によるワープホールを生み出した。
「まっ、マジかよ!」
立ち上がり驚くグロリアスを見向きもしないでクレアは飛び込んだ。
1人専用で、クレアが飛び込んだら元に戻ってしまった。
グロリアスは何も言えず頭に手を当てて軽く首を振った。信じられない、そう顔に書いてありそうだ。
「……ぅぅう!!私は戻ります!!」
「待て!何も知らない状態で戻るな。統括会に行くんだろ。そこには俺が行こう。準備だけはさせる。お前は見に行った後に詳細な説明を出来るようにした方がいい」
「そうですね。お願いします」
「おう。まあ、これでまた学園計画は延期かな」