七宝の霊薬
「私は戦わないよ」
「アイツは!?敵!?」
「そうです!やっちゃってくださーい!」
「無策で来るわけないでしょう?『複製』「黒霧」」
「何ですって!?クレアちゃん!ダメ!」
「はぁ!?今更……」
勢いよく飛び出した「風の手」を伸ばし白銀に触れる間近にクレアちゃんの翠の輪郭の大きな右腕は漆黒の輪郭の右腕と正面から握り合うようにして、潰された。
クレアちゃんの「風の手」が。
負けたことなんてなかったクレアちゃんの最大魔法が破られた!
「アッハハハ!!これは凄い……これが『黒霧』か」
クレアちゃんに駆け寄り、寝転がってしまった彼女の呼吸を確かめる。
大丈夫、呼吸はある。苦しそうなのは痛みからか。
私が医者では無いから判断が付きにくい。
聞いていた黒霧の多分レプリカの魔法。
しかもその1部で、こんなにあっさりとクレアちゃんがやられるなんて。
「七宝の霊薬です。飲んで」
白銀を近付けさせ無いように、氷の鈴蘭で巨大な氷のキューブを作り出してその中に閉じこもる。
ショコラに空間を同一させ、たまたま出来た1つしかない薬を飲ませようとしても、意識がないせいで飲み込まない。
「不味い。飲んでくれれば一時停止が出来るのに」
そんなに量もなく、無闇にこぼすことも出来ません。
し、仕方ありません。そうこれは医療行為。決してやましいことでは無いし、緊急事態なのです。
という事で。
薬を口に含んで押し込むようにクレアちゃんの小さく可愛らしい口に口で触れます。
そう………キスですね。
喉が動いたので、薬の投与は成功です。
これで時間稼ぎはできるはず。
「さて、どうしてくれようか」