風の魔女
「かつてこの国には将軍がいた。現代技術が発展するまで、人を統治できたのは法よりも力だった」
「革命でもするつもり?勝手にやって」
「まさか、いやなに。時代が逆行してるんだよ、剣術が見直されるよ」
「……私は錬金術で失敗した、と思う。別に寄り良い世界になんて思ってないし、この力で敵を薙ぎ倒すことに抵抗感は無い」
「同じだァ〜」
「今は違う」
「違う?」
「守る為に使わせてもらいます」
私はどう見てもプラスチックの玩具の赤い水鉄砲にしか見えない、それを真上を向けて撃つ。
音なんかしない。そして、ただ空気がおもとなく押し出されるだけ。
「はっ、ははは!なんだい、それは。へぇ、錬金術士は玩具を作る達人かな」
白銀は笑いをピタリと止め真顔になる。
上を見る。何も無い。何も変わらない夜の空。
なのに、ビリビリと自分の魔力探知が警戒をする。
隕石が降ってきた。
そう錯覚するほどに勢いよく現れ、小さなクレーターを作って私の目の前に来てくれたのはちょっと会わなかった1番の友人。
女性の見た目、複数の龍を従えたティアマトを顕現させた風の魔女。
「私のティアになにをしたァ!!」
「クレアちゃん!」
吹き荒れる風を好き勝手に暴れさせながら白銀に杖を向けて睨みつける。
白銀は刀を抜いて構えた。
そして、それが無意識だったと驚いていた。
「……降参だ」
刀を置いて数歩下がる。両手を上げて敵意がないことを示した。
クレアちゃんはもう、居るだけで場を制圧出来る魔法使いとなったいる。