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白銀
「壊滅仕掛けの国っていうのは恐ろしいね」
「……アナタは?」
「私か。……そうだね、白銀だ」
表に出て暗くなった街並みをみる。
一応は社会として動きは続いているように見える。
フラフラとどこか懐かしさを感じながら、食べ歩きをしていると自然に横にいて、自然と話しかけてきた人物が居ました。
何も驚くことはないと感じています。
ミルクショコラによる最大限の警戒に引っかからないので、悪意や敵意は無いのでしょう。
あって、感じさせていないならもうお手上げですしね。
白銀と名乗った女性は名の通りシルバーの髪をした長身の女性。鋭い目つきに、余裕をうかべる笑み。
少し前ならば逮捕されるだろう、刀を腰から下げています。
「私、剣士は初めて見ましたよ」
「そろそろ、表に出るべきと思ってね」
「……ハッ、何者!?」
バチッと頭に電気が流れたように、不自然を感じて咄嗟にミルクショコラを呼び出して距離を取ります。
なぜ、違和感がなかったのか。
まるで、
「まるで、黄色の魔法使いの魔法?」
「ッ!」
「いいのかい?街並みでドラゴンなんて呼んじゃってさ」