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皇明(すめらぎあける)とソレーラル・エサティ・グレー
疲れ果てて今にも寝てしまいそうだ。
魔力を使い過ぎたとかの疲労ではなく、体力的に疲れた。
僕は魔法使いの家系なのに、魔法が一切使えない。それだけなら一般的な生活だけを過ごす事が出来た。
それならどれだけ良かったことか。
僕の不運は他者よりも圧倒的な魔力量がある事だった。家庭環境は最悪だった。
使えない魔法の勉強ばかりさせられた。
そのおかげで知識のみ蓄積されていき、統括会の教師陣と知識だけならタメを張れると思う。
「ねぇ。皇」
鋭い目つきでダルそうに近付いてきてどっかりと座り込む。同級生の、
「な、なに?えっと、ソレーラル君」
名前を呼ぶと略称でいいと軽く手を振る。
それよりも、と。ズイッと顔を近づけて問い詰めるように、ゆっくりとした口調で話しかけられる。
「ソルでいい。統括会でさ〜、君、俺の魔法に驚かなかったよね。黒魔法珍しいなぁ〜って思ってるんだけどさ」
「あ、知ってたから」
「へえ!知ってた!?外伝しない魔法だぜ!?なんで知ってんだよ」
「僕の家計は魔法使いの一族でも記録を生業にしてたから。蔵書の中にあったんだ」
「なるほどなぁ。……蔵書の一族?」