ストラウトの弟子
「お、錬金術様御一行だ」
「言い方が悪役っぽいよ」
「うるせー、ほっとけ」
「誰?」
「よりによってアンタか……」
「おいおい、クレアちゃんよぉ、その言い方はなくないか?」
「何か用?」
「用ってお前、俺達がストラウトさんの弟子だ」
「つまり、師匠に言われてパーティを組むことになってたはずの2人です」
「いえ、結構です」
「おいおい、冷てーな。でも、そうはいかんのよ」
「わかりました」
「お、意外と聞き分けがいいじゃねーか」
「いくらです?」
「は?」
「いえ、ですから、引き返し願うのにいくらいりますかと、聞いているのです」
「……お前の第一印象のせいだからな」
「連れがすまない。まずは自己紹介からいいだろうか」
「はい、どうぞ」
「ありがとう。僕はリーナー。位は花で、少しだけ特別な魔法を使います」
「特別?」
「リーナーは魔力を蔵書として保存できるの」
「クレアさん、説明ありがとうございます」
「へぇ、なら、錬金術師や創成者について詳しく分かるかしら」
「ええと、どうでしょう。少し待ってください」
「うーん、すみません。その手の知識に手を出す余裕が無かったせいで詳しいことは何も。でもこれからはパーティですからね、私もできる限り調べさせてもらいますよ」
「あら、ありがとう!歓迎会しなくちゃ!」
「おいおいおい!待て待て待て!」
「まだ居たんですか?」
「はぁー、悪かった。俺も自己紹介からするべきだったな」
「あと、言葉遣いをもう少し正してください」
「うっ、分かったよ。俺はブレッド・バフォーム。位はリーナーと一緒で花だ。出来ることは戦闘全般だな、宜しく頼むよ」
「……ふふふ、急にしおらしくなりましたね。ええ、宜しくお願いします。これからの事で話もありますから私のアトリエへ行きましょう」
「あら残念。ティアが断ってくれたら良かったのに」
「お前は……」
「皆さんの師匠は誰なのでしょうか。ストラウト、と聞こえたのですが。あ、私はソフィリアと言います。師匠はご隠居してしまったのですけどね……」
「僕と、ブレッドは師匠を獅子座の魔法使いことストラウトさんです。で、クレアさんは魚座の魔法使い、二ーヴァさんを師匠に持ちます」
「と、とんでもない方々……!」
「一応私も二ーヴァさんの弟子らしいですよ」
「らしいってなんだ」
「師匠がティアが危なっかしすぎて保護下に置いたのよ」
「貴方はどれだけの逸材だと言うのですか」
「さあ、ただの駆け出し錬金術師よ」
「ただの駆け出しが二頭の龍を引き連れないわ」