姉弟子
「やあ、よく来てくれたね」
「連れてきたわよ」
「何をそんなにイライラしているんだい。依頼料は弾んでるはずだよ?」
「別に」
「あ、あわわわ」
「ああ、ごめん。依頼よ」
「初めて聞きましたね」
「初めて言ったからね。統括会の生徒は普通個人間での依頼は原則禁止だから、許可を貰って依頼を受けたのよ。こういう時師匠が権力持ちだと楽よね」
「クレアさんって、変わりましたよね……」
「そうかしら、使えるものはなんでも使うべきよ」
「そろそろいいかな。頼み事は至ってシンプル捜し物だよ」
「え、それなら警察とか……」
「……世間知らず。魔法使いが頼み事をするんだから厄介事に決まってるわ。本来ならこんなの受けないんだけど、ソフィーのランクが低いのは問題だからね。仕方なく受けるの」
「おいおい、依頼主の前でそんな態度をとっていいのかい?」
「いいでしょ、姉弟子なんだし」
「ふむ、お友達が言った通りだね」
「なにが」
「変わったという事だ。ニーヴァの後ろに引っ付いて離れなかった子供が成長したものだよ」
「う、うううっさい!!いいから詳細を話しなさいよ!!」
「ははは、悪い悪い。頼みたいことと言うのはね……」