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脆かった秩序
「表世界の惨状を見たかい?」
「惨状?いえ、ずっとアトリエと学園との行き来しかしてないので」
「君は情報収集は全くしないみたいだ。お連れは燈火だろう。私のお気に入りだったんだがね」
「……燈火さんは返しませんよ。私が拾ったんですから」
「今更だ。ここは表世界だよ。山と言ったが正確には寺院だ。少し降りれば寺だよ」
「なら、最初っから寺で良かったじゃないですか」
「本当にそうかなぁ?言ったろ、惨状と」
「表世界なのに火柱が凄い出てますけど……え、魔法」
「日本人は目覚めたよ。潜在的に持ってる人が多く、君が拡散した創成術士との戦いで魔法を認識した人々は魔力を知ったのだよ」
「ああ、なるほど。理解できなくとも使えるものですからね。まさか、皆独学で?」
「さぁ、それは分からないが、秩序が破綻した」
「政府は動かなかったんですか」
「お偉いさんは全員死んだよ。魔法や陰陽術が使える人々が、日々不満を持っている人間に対して何もしないわけもない」
「これは世界中で?」
「さぁ?私は日本の神だよ」
「改めて神なんですね」
「なんだと思ってるんだ。天罰だよ」