先生始めます。
「おい、ティア。挨拶をしないといけない人……じゃないか。とりあえず会っておかないといけない存在がいる」
遅刻魔空は耳打ちをしながら、どこか急かす様に言います。
時間が無いと言うならば、自身の身の振り方を振り返って欲しいものですね。
正直今までは皆さんにおんぶにだっこだったので、1人でもできるぞっと言う所を土産話にしてやろうじゃないかと思い立ちます。
「放置は良くないですからね。皆さん、簡易的なアトリエを……皆さんで作っておいて下さね。錬金釜は3つ置いておきますので、困ったらミラクルを頼るように。私は用事があるので少し開けますね」
「ママ、ついて行っていい?」
「白夜もですか?」
「嫌な予感がするの」
「そうですか、なら一緒に行きましょうか」
次いでに白夜に「キャー、ママ素敵」と思わせてやりましょうとも。
一連の会話とティアの表情を見ていた燈火は黙って居たが、「不安だな」と独りごちる。
「先生か。やってみせますよ」
この場を後にしたティア、白夜、空の後ろ姿を見送りながら手を叩いて注目を集める。
どうすればいいか分からないと言った顔の生徒たちを見渡す。
そりゃ、そうよね。
私だって困惑するもの。ティアは自分が出来ることは他人もできるとでも思っている節があるのが難点ね。
「お困りだと思うけど、錬金術はどういうものか思い出してみて」
先生始めます。