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「あの〜」
ノックもせずにアトリエの扉を開けながら申し訳なさそうに入ってくる。
何時ぞやの陰陽師、空だ。
しかしながら空の目的の人はここにはいなかった。
「ママに用事のある人ですか?」
錬金術士ティアと瓜二つ、そっくりそのまま鏡写しの様な少女。
雪原の純白さ、不純物を許さない潔癖さを感じさせる白の流れるような髪の白夜は、お留守番リストの名前を確認しながら問う。
「まぁ、そうだね。許可を貰いに来たんだ」
「ああ、思い出しました」
「えっと……」
「貴方ママに危害を加えようとした人ですね」
「もう終わった事で、新しい関係性も持ってる。それを君は一時の感情で全て壊すのかい?」
「それは……」
「悪かった、大人げなかったね。ティアは何処にいるのかな?彼女に伝えないといけないし、彼女の助けがいるんだ」