「運命に記載されていない」
「久しぶりだなぁ?」
「ええ、殺してやりたいくらい」
長身の男と全身から雷を纏った女が対峙している。
一方は余裕を、一方は殺気を。
「居場所を突き詰められるとは思わなかった。流石は元とは言え黄色の魔法使いか。用はなんだ」
「その黄色を嵌めたくせに。テメェがどこの誰の運命や人生をぐちゃぐちゃにしようがどうでもいいが、たった1人と、その周りに被害が行くと黙ってられなくてね」
「あの錬金術師か。どうしてそこまで肩入れする。大した小娘じゃないぞ」
「あの子の事をまるで分かってない。あの子自身は平凡な普通の子。ただ、他人を惹きつけて止まないナニカがある」
「………」
「思い当たる節はあるでしょう?多分彼女は世界の中心にいる」
「不快だな……。世界はティアを中心に回ってるって?」
「そう、錬金術師ティアが世界の中心、だから。貴様の穢れた手を伸ばすな」
「ふ、フフフ。フハハハハ!!それを聞いて何もしなくなるとでも!?」
「やってみろよ、最大限のおもてなしをしてやろう」
言うだけ言って燈火はその場から一瞬で消えた。
残されたトーマスはスンっと真顔になり呟いた。
「運命に記載されていない」