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犬猿
「なぁ、さっさと降参するか見逃してくれね?」
優に数十は超える分身のメイズがヘラヘラしながら言う。余裕な態度だ。それもそのはず同系統の魔法の使い手であるシーフォートは後手に周りなすすべがない。マヌユエが余力を残しつつ防御に専念してあるから何とか持ちこたえている。
「倒す選択肢は無いのですか?」
「……強者の奢りだよ。素直に受けとって欲しいものだな!」
「まさかアンタが出ばってくるなんてね。想定外よ」
「そう?言い方鳴らしの相手を探してただけなのよ」
「フン、言うじゃない。情報屋、いえ、黄色の魔法使い!」
「フフッ、久しぶりに言われたわ」
「言っとくけど私はメイズほど優しくはないわ」
「それなら、私もティアさんほどでは無いですよ。今から殺した時の言い訳を考えておかなくちゃ」