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アルトリアとセレスト
アルトリアが一直線に伸びる通常魔法を打ち込む。
それは氷の柱にぶつかりヒビひとつ付けること無く霧散する。
「妖精セレスト。本物なの」
「ウチの事知ってる人間なんだ。なら、勝てない事くらい分かるよね」
「大精霊の成れの果てがよく言う……グッ」
アルトリアが小馬鹿にしたように言えば、安易に挑発に乗り、横一直線に飛んでくる雹の雨。
火の魔法を使ったとてその勢いでは炎を貫通してダメージを追ってしまう。回避一択だ。
同じ質量をぶつけなければ相殺はできない。相手の魔法をピンポイントでぶつけるほどのコントロールはアルトリアには出来ない。
アルトリアは炎の盾を作り続けて雹を溶かしきる。
「……さて、どう攻略しようかな」
静かに佇む小さな少女には、その見た目には想像もつかない冷ややかで静かすぎる魔力を纏う。
殺気に彩られた目はそれだけで人をい殺すことも出来そうだった。