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始動、ティア組!
賢者は驚いた素振りを見せるも、どこか納得の表情を浮かべてクレアちゃんの頭をぽんぽんと叩き、すぐさま指示を飛ばす。
「皆、聴けえ!!脅威はまだ去ってはおらぬ。教師陣、及び統括会に居る位持ちは率先した救助を!回復魔法、及び白魔法を扱えるものは白の魔法使いの指示を仰げ!」
普通に喋っているだけなのに、構内の全てに賢者の声は届いた。クレアちゃんは硬く口を結んだ。悔しそうに見えます。
「さぁ、さぁ!クレアちゃん!及び、私の友よ!」
賢者の覇気に呆気取られている場合ではありません。
パンパンッと手を叩いて私は注目を集めます。適材適所。やれる事、やらなければならないことはまだまだあります。
「賢者さん、私の言葉も届けて!」
「いいだろう。手を取りなさい」
賢者は掌を差し出します。その皺だらけの手に私の手をちょこんと載せる。驚いた事にとても熱い。体温じゃありません。きっとこれは賢者の内に秘めた起源。賢者はきっと自身の起源を突き止めたんだ。本当にすごい人だ。
なぜだか嬉しくって思わず微笑んでしまう。賢者は驚いた。そして、孫を見るような目で私を見て頷いた。