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新たなる才能
「分かった。ここは引くとするよ。……そうだな、よかったら上げるよそれは」
「いい素材になりそうですね〜『えすぷれっそ』!」
体の違和感はずっとありました。うずうずというか、普段からなかったエネルギッシュな何かが渦巻いているというか、湧いてきていました。
私も馬鹿じゃありませんし、不思議世界にいる訳です。これの正体が魔力だとは分かっています。
冬桜を着弾点として、黒の液体が破裂して冬桜を窓から吹き飛ばしました。上手くいって良かったですね。
「いえーい、クレアちゃん!やりましたよ!」
「あ、アンタ、魔法使えたのね……」
「こりゃ、騙されたな!敵を騙すには味方からってか!なんだよ、水癖ーじゃないか」
「あ、できるかなと思いやってみたら出来ました」
「クッ……才能……」
「さて、戦況はどうなったでしょうか。ミホさんは圧倒してますね」
「流石だな。リーナーはどうか」
「師匠たちもね」
「結界の魔道具は中断してしまって、失敗ですからやり直さないと……」
「んじゃ、とりあえずは俺達はティアの護衛、ティアは錬金術だな」
「そうね、せめて燈火が近くにいて欲しいわね」