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バフォーム
冬桜は明らかな時間稼ぎの戦い方をする。出入口を『崩壊』させて、直ぐに外に出られない。
迂回しようとすれば、『崩壊』の魔法が飛んでくる。
ふれれば忽ち崩れ落ちていく道具達。
執拗に私を狙うのは、私の守りに1人つかせるため。理にかなってる。私は戦闘では足でまといだと、強く思い知らされる。
「なにか、ないか?手持ちの道具は?」
襲撃がこんなにも早いとは思いもしなかった。油断だった。だから、低級爆弾が少ししかない。
「クッ!伊達に色のパートナーだけはあるな。腐っても実力はそのままか!」
「魔法の性質が厄介ね……」
「こんなもの?魔法使いも衰退した」
「フンッ!アンタがそれを憂う意味は無いでしょ」
「……何も知らないガキが。殺すなって事だったけど、もういいや。死んじゃいなよ」
「なにかしかけてくるぞ!」
ブレットが捨て身にも思える突進をして、冬桜へ大ぶりの攻撃をする。簡単に躱されるが、体を前転させて、杖を蹴り上げた。
「ッ!……バフォームなだけはあるか。まるで猿だな」
「魔法使いの杖は時には命より重いよな?」