行雲流水
「自問自答、私は殺せるか。回答、可である」
エルフは3人。真ん中のエルフの真後ろに「移動」する。
これには誰も気付けない。
「はっ、消えた!?」
「レミー!後ろだ!」
正面から見て右の赤髪のエルフが魔力どうこうじゃなくて、動体視力だけでミホを捉えた。
しかし、視界に入ったミホはエルフの背中に掌を当てて左手で右腕を支えている。
魔法が行使される。
今まで、記憶が戻ってからもどことなく力を制限していたように思う。自分の力だと理解はしても、どうにも受け付けない。ある日突然君はスーパースターだと、その辺の子供に言っているような感じ。
この違和感は今後抱えたままではあの子には置いていかれる。私の方が力はあっても、あの子のように、ティアのように自ら道を開拓できる訳じゃない。その才能は無い。だからその作られた道を歩く為にも、
「私は今ここで、本来の力を取り戻す!『行雲流水』」
小さな拳位の水球が破裂して、エルフを吹き飛ばした。水球は霧となり、その場に留まった。
ミホが人差し指と中指を立てて左へ腕を振る。連鎖する様にシャポン玉が1個、また1個と倍々式に増えて辺り1面泡にしてしまった。
「綺麗でしょ、割らない方がいいッスよ。あのエルフの様に吹き飛びたくなかったら」
「くっ!……これが色の魔法使い………!!」