仮定
「ああ、勿体なかったな。本来なら邪龍だったし、火口に居たしで、炎属性持ちの邪龍の素材が手に入れれたけど……」
「おい、それどころじゃねーだろ」
「きゃあっ!って、ブレットじゃない。どこ行ってたの?」
「けっ、知ってるくせによ。……魔石だけか」
「全て溶けたからねぇ。はぁ、余裕と思ったのに」
「ただの火竜なら問題なかっただろ。明らかな人為的な邪龍だったし、ま、良しとしようぜ?」
「ちょっと、待って。人為的、ですって?」
「あ?そうだろ。だいぶ前だけどよ、師匠について行って呪いを撒き散らすドールを退治しに行った時と一緒だなんだよ。呪いの言葉がさ」
「その時のドールは結局どうなったの?術師は見つかったわけ?」
「いや。ドールをぶっ壊して終わり。その後に被害は無かったから、それでその依頼は終わってんだ」
「なるほどね。今になってその事件が尾を引いてるって?出来すぎよね」
「十中八九、No.だろうな。今思えばリーナーが、師匠に弟子入りした最初の依頼だったか」
「付けられてるじゃない!……今も?」
「この惨状で生き残れないだろ。現に俺、死んだし」
「そうだったわね。私ももう一度あの炎の中で耐え切れる自信はないもの。いたとしてもガラスになってるわね」
「その前に溶けて死んでそうだが……なんにせよ、ソフィー並かそれ以上の星読み、或いは未来視がいると仮定した方がいいかもな」
「嫌な仮定ね」