VSドラゴン
駆け出した2人は、ドラコンを撹乱させるように走る。ブレットは魔力を乗せた脚力で直線的に、カクカクと動き、クレアちゃんは風を足にまとい、上下左右自由自在に動きつつも確実にドラコンへ迫る。
ドラゴンもただ待つだけでは無い。ある程度の狙いと予測で火炎弾を放ってくる。数個ほどならば躱す事は容易だが、ドラゴンも飛び、上空からまるで隕石のように迫る火炎弾は避け切れるものでは無かった。
「ちょっと!!飛んでないで降りてきなさいよ!」
「んな事言って通じるかっての!」
ブレットがドラゴンに目掛けて今までの運動エネルギーの全てを剣に乗せて斬撃を飛ばす。1本目はドラゴンが斬撃の下をくぐるように躱す。
「追撃の2本目はどうする?」
回避後の硬直したドラゴンの翼に当たる前に、ドラゴンは手をかざして斬撃を受けきった。
硬化した爪に弾かれた様だった。
「こりゃ硬ぇわ」
ブレットの攻撃は大したことないと侮り、これみよがしに咆哮する。しかし、そのさらに上空から小柄な少女が降ってきた。
「何得意げになってるの」
杖を持っている腕を支えながら両手を頭の上に上げている。地上からそれを見ているブレットには、クレアちゃんを中心に空間が歪んで見えていた。