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膠着
「さてと、じゃあ置いてきたクレアちゃん達と合流して逃げないと」
「創世術士については何も分かりませんでしたね」
「うーん、なんというか気配というかシンパシーというか。そういうものは感じるんですけどね」
「行くなら早い方がいい。アレに悟られたら逃げるのは難しい。たとえアンタがドラゴン2匹を使役してようが色が居ようが剣聖が居ようがね」
「終始後味の悪い所ッスね。なんの収穫もないし」
フォールスは汗を滲ませながら、今一度剣を構える手に力を込める。
フォールスは男の多彩な魔法に翻弄されていた。
剣を振ればそれは偽物で、魔法による束縛を試しても魔法による相殺をされる。
イタチごっこなのに、魔力がだいぶ心許なくなっているフォールスに対して男は涼しそうな顔をしている。
クレアちゃんが痺れを切らした。逃げる時に万全の状態の人が多ければそれだけ生存率は上がる。その為にフォールスは1体1を仕掛けたが、ジリ貧になっている。そのうち負けかねなかった。