決別、冬桜
「この世界1つには裏がある」
「……その裏には使命がある」
「……何言ってるの?リーナーも!」
「『No.』はその運命にも似た使命を果たすためだけにある存在で、そこに人としての価値は無い」
「……私は掴むはずだった栄光も、確約された未来も!快楽も愉悦も悦びも全て!お前のせいでなくなった」
「……そうですね。あの過去を無くすことは出来ません。………死ねと言うなら死にましょう」
「ちょっ、リーナー!何言ってんスカ!させませんよ!」
「………今のお前に出来んのかよ!『万物の終わりを促進せよ』」
冬桜が杖を振る。リーナーがいた場所に微かに魔力が集まるのを感じ取ったミホは無詠唱でリーナーに長径30cm程の水の塊をぶつけて吹っ飛ばした。
(こうなったらリーナーは使い物にならない!私が何とかしないと!)
リーナーのいた場所にヒビが入る。大気が衝撃を受け割れた硝子のように、ヒビが入るとそこにあった物質が死んだ。
そこにあった水素や酸素がパッと消える。大気が、いや、世界がその歪さを瞬時に修復する為に周りから補填する。
ミホはその大気の修正の影響の吸引により、よろめいた。その油断を逃す冬桜では無かった。