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No.の男
無数のワイバーンの群れを蹴散らした。
ススのような塵が雪のように落ちていく。その真下に私達をなんの感情もなく見上げる。不気味だ。
その男の前にゆっくりと降り立つ。
ブレットが前に立ち剣を構えて押し黙る。
コソッと私に聞こえる程度の声でブレットが言う。
「ティア、万が一の場合は俺たちを置いてでも逃げろ」
「そんなに強いんですか?」
「なんというか、お前みたいな不気味さがある」
「私不気味と思われてたんですか!?」
「君達には話しておかなければならないことがある」
感情の読めない声で話始める。