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冬桜と崩壊
「冬桜、さん」
「へぇ、人にさん付けできるようになったんだ?だから、何?今更君が、君達が私にかける言葉は無いはずだよ。正直喋る権利すらないよ」
「まって、私は……ほんの数日まで記憶がまるっと無くなってて……貴女のことは顔を見て思い出したくらいだ」
「……そう。それは何?言い訳?懺悔?後悔?何?それが私を地獄から救う何かになるわけ?狂気の感情の塊に救われてしまって、その奴隷に成り下がり、平気なフリして人も、世界も、全て『崩壊』させて来た私の何になるの?」
「……今からでも良いのです。私はそうだったように冬桜、まだ間に合います」
「気に食わないよね、人殺し、人生殺しが、のうのうと説教?笑わせる。私はね、もう、お前たちを殺して全てを崩壊させたいだけ。全てを終わらせるの!」