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エピソード:リーナー
「なるほど、隠し通路」
「ええ、ええ!その通りでございます。コレなら索敵の雨に引っかかることなく首元まで行けるでしょう」
「他に内通者は?」
「残念ながら……ちなみに増援もいません」
「それでこの数の包囲網を突破して『異物』を回収して逃げるだと?」
「そういうことになりますねぇ」
「要はかさ増しがしたいんだろ。そこは俺の術の出番だ。用意はいいか?」
「何時でも」
「何者だ!」
「どうしてここに!青の魔法使い様の索敵にかからなかったのか!」
「……様子がおかしいぞ」
「いいから、増援だ!白も、青も二隊分応援に寄越せ!」
「奥からも来るぞ!問答無用だ!かかれ!」
「よし、じゃあここからは各自行動だ」
「餞別だ、これを持ってけ」
「なんだこれは。札?」
「封印術が施されてる。いざとなったら使え。さぁ、せいぜい撹乱してくれよ。じゃなあ!」
「……俺達も行くぞ」