複雑な因果
「待って待って待って!なによこれ」
「街、ですね。別世界なんでしょうか。いえ、しかし私達は起源の魔法に巻き込まれ……」
「あの、世界が融合してるんじゃないでしょうか。前に授業でそんな内容を聞いたことがあります」
「不気味な話でしたよね、それ。元の世界を侵食しつつも新たな世界を作り、人に起源を選定する。その時、その世界の人々は初めから居たのか、作られたのか」
「……記憶が無くなった、巻き込まれた人達」
「その可能性はあるわ。なら、この子も?」
「彼らが敵じゃないとは限りません。なるべく裏から行きましょう」
「待て」
裏路地に入り、柵を越えて、塀を登りコソコソと城をめざしたいた。
裏路地と言えど広く出る場所はあり、そこで待ち構えられていた。
その女性はこの場には似つかわしくない、ドレス調の衣装を纏っていた。
光の無いカーテンで閉ざされたような陰鬱とした世界で唯一の光であるかのような白の服が良く似合う少女はショットガンを構えていた。
「どうしていつもこうなのよ……」
「すいません、わたしが星読みさえ使えれていれば……」
「喋ることは許可していないわ。手を挙げて。アナタたちは一体誰なの?」
「私は錬金術士」
「錬金術士?そんな名前の人は聞いたことがない」
「あっ、いえ。それは役職というか職業名みたいなもので……」
「馬鹿なのね。分かるでしょ、名前を言いなさいよ」
「ごもっともね」