可能性
「具体的に何をやるのよ」
「それは……あ」
「はぁ、今回は錬金術に頼らずやらないとね」
「魔法が使えるようになっているんです」
「ティアが?」
「私の魔法で錬金術を使えたら……」
「試してる暇は無いわ。私達の魔法でやっていくのと同時並行で、出来たらラッキーくらいでいて」
「……ここは歪んでいる世界。起源の魔法、歪みに選定された。それも2人」
「もう一人の子ですね、しかし」
「起源は2つもない。どちらかが死なねばならない」
「それは嫌な話ですね。どうにか仲良く半分ことは行きませんか?」
「分からないわ。リーナー?」
「……前例はありません。正直この子の事はどうでも良くて、皆さんの身を案じています」
「リーナーさんらしくないね」
「それほどの緊急事態という事です。行くなら行きましょう。あの城へ行けば終わりには近づくでしょうし」
「まあ、そう簡単に行かないみたいね」
泣いている顔なのに、口元がニンマリと笑っている仮面を付けるナニカ。
いえ、シルエット。人を黒く塗りつぶしたようなナニカは形を一定に留めない。
一瞬で、ミニスカートをはいた少女のシルエットから高身長の肩幅の広いシルエットに変わったりと気味が悪い。
「いつの間に現れました?」
「そうね、言うならばいつの間にか、ね」
「はは、お上手ですよ」
「皆さん、何となくですが逃げた方がいい気がします」
「理由は……」
「いいじゃないですか、ソフィーさんがそういった。根拠も理由もそれで充分だって、皆も分かってるはずです」
「……地面に魔法を撃ちます。クレアさんは風を巻き起こして目眩しを。右の通路へ入って前進しますよ!」