内側
「……なんか変じゃないですか?」
「あ、やっぱり分かる〜」
「ちょっとっ!クレアさん〜!?」
「うーん、無理ですね。降りましょうか」
「まわる円盤の上って変な感じしますね」
「……はぁ、ティア。真っ暗になったのは多分魔力の壁、でしょうね。『灯火とそよ風』」
クレアちゃんが掌に小さな火を纏うつむじ風を発生させると、辺りが見えるようになりました。
コーヒーカップの内側には、既に何も無い状態で、ひたすら下の足場が回っている感覚だけが分かります。
出入りができないようになっている原因の黒い魔力壁には、魔法無効が組み込まれていますね。
「ねぇ、なんでそんなこと分かるのよ」
「え、何がですか?」
「この壁の性質よ」
「見れば分かる……そうか、いい素材になりますね!」
「素材……モノクルで見れば。なるほどね」
「さて、出れなくなりましたが、こういう時は」
「ええ、必ず」
「え、え?必ずなんですか?」
リーナーが顎に手を当てて腕組みをしてキョロキョロ左右上下を見ながら言葉を最後まで言い切らずに呟きます。その言葉を拾って同意するようにクレアちゃんは頷きました。
私も何を2人が認識しあえているのか分かりませんが、ソフィーさんも分かんないようです。でも、ソフィーさんは少し怯えすぎでは無いでしょうか。
「ティアさん、私は今星読みが効かないんですよ!?ただの雑魚なんです!」
「自分自身を自信満々に雑魚と言われたのは初めてです」
「右に同じね、通常魔法くらいは出来るでしょ。大丈夫よ」
「そうこうしてるうちに来ましたね」
甲高い奇声を挙げて暗闇の虚空から這い出てきたのは女性っぽい何かでした。
「…………怖いっ!!」