本質
フォールスさんを宥めるのはとても大変でした。
一旦ミルクショコラと敵対してしまったのが良くなかったです。
ミルクショコラは排除すべき敵と認識し威嚇するし、ドラゴンと対峙した事があるのか、マイペースな印象だったのに、冷や汗をかき、臨戦態勢に移り、一髪触発の状態でした。
「…………ドラゴンは厄災を齎すとされている。そして、それは…………事実なんだ」
「そういう事態を対処してきたのですね」
「…………そうだ。…………だから…………信じられない」
「むー、まぁいいですよ。ミルクショコラ!繋げ!」
私が何時もよりも力強く、より一層の信頼を込めて願います。ココと、黄金郷の官位アトリエを繋ぐゲートを創れると信じてる。
ミルクショコラは呼応する。
何時もはこんなことは無かった。
体がほのかに発光したのです。
「わっ、凄い」
「ウチと一緒だよ。このドラゴン達は精霊力が宿ってる!」
クレアちゃんは幾度となくミルクショコラがゲートを作るところを見ています。というか、いつも見てます。いつも一緒ですからね。
その、クレアちゃんが初めて凄いと言いました。
魔力の高まり。属性の強化。
この時のティアは魔法を使えるようになっていた事、本当の錬金術士になっていた事、そして、魔法の本質を偶然にも捉えていた事が、ミルクショコラをさらに高みへ押し上げていた。
「…………本当に信じられない」
フォールスは手で顔を覆った。その内側の表情は捉えることが出来ないままに。