そして加わる
「いや、半分正解だ。錬金術士ってのは物質をまた別の物質へ作り替える人だ。感覚的に、または知識的に素材となる物の理解と、その後何にするかの明確なイメージ。最後に、物質を再構築する魔法を使ってる」
「……へぇ、そうなんですね。実は私も魔法使いだったなんて」
「コレだから感覚タイプの天才は……」
「私は素材を入れて魔力をそそげば錬金術が出来るものと思っていましたし、実際にその方針で固めていました」
「そんなんだから弱いくせに希少で、必要不可欠っていう微妙な立場になるんだ。いや、そうさせてたのは……」
「なるほど、必要不可欠且つ強いとなれば誰も逆らえない……あれ?ソレ私やろうとしてませんか?」
「驚いたぜ。無自覚に世界を牛耳ろうとしてなんて。お前面白いよ。いいよ、いずれ錬金術士の世界を作ろう」
「そんな大それた野望は……」
「遠慮は要らねぇ!全てを見返すのさ!」
「あわわわわ」
「あ、因みに錬金術に魔法を用いるって事を論文で発表して追放されたの。あと、禁忌に認定された」
「その、辛くなかったですか?」
「……まあ、グレーな生き方だったよ。それしか無かった。惨めではあった。けどもうどうでもいい。お前の見る世界、俺が形作ってやる」
「あの、認識の齟齬が……」
「人は分かり合えないから戦争をするんだ。だか、別の方法もある。分かり合うまで一緒にいればいい。て事で俺も行くわ」
「は?へ?何処にですか?」
「決まってんだろ、黄金郷」