スカーレットの足跡
「そういえば、ティアは私達、取り分け私についてなにか聞くことはしないんだな」
「スカーレットさん個人に?」
「ええ。私は純粋な魔法使いじゃないから」
「それなら私もそうですし、事情は人それぞれです。それとも、話したいですか?」
「……いえ、いえ、そうね。同じと言うなら貴女にだけは」
「聞かせてください」
「私は魔力がないし、魔法使いの家系でもない。だから魔法には縁はないはずだった。だけどね、あの自称天才魔法使いのメイズが何かしらの事情で大怪我を負っていた」
「その理由は……」
「知らないの。よっぽど恥ずかしい事なのでしょう」
「取り敢えず家に上げて治療をしたわ。裕福じゃ無かったから病院に行けなかったの。まあ、その方が結果的に良かったんだけど」
「その時ね、メイズは殆ど死んでいたの。だから、私の命を自分の命に上乗せして統合したの。この命はメイズと共有なのよ」
「そんな事が……」
「驚くわよね」
「そんな事が出来るんですね。人を縛るにはこれ以上ない……いや、既に出来る、アレが……」
「ちょ、ちょっと、ティアさん?」
「ああ、すいません。錬金物で同じような事が出来るのですが、魔法であるとは」
「……命関係はどんな物であれ禁術よ?」
「……それで、その後はどうだったんですか?」
「……」
「……」
「……はぁ、何も聞かなかったわ。その後は統括会の監視下で今と似たような事ね。魔法使いはプライドが高くて困ったわ。メイズの魔眼を非魔法使いの私が使うのが気に入らないのか、喧嘩を売られるんだけど」
「返り討ちしそうですね」
「まあ、ね」
「凄い!」
「貴女も似たようなことしてるじゃない。それも有り得ない規模で」