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魔法
「わぁ、金ピカ!」
「……対火、いや、炎の耐性ありね。私の風は通る!」
「奥からも来るわ、セレスト足止め!」
「俺は遊撃に回るぜ!?」
「ええ、メイズは馬車馬の様に働きなさい!」
「言い方ぁ!」
「クレアちゃんは流石ですね。もう連携バッリチなんて……」
モヤモヤとするので、久しぶりに杖を取り出して、心の中からの詠唱を始めます。
『心は澄んでいる。闇は凪いでいる。心が願う時思いは重く形になる。節度は捨てた、加減は捨てた。我願うかの者に力を━━━━最愛なる力を!』
魔法の勉強なんて全くしてこなかった。発動したのも多分初めて。それでも分かる。これでいいのだと。
クレアちゃんに黒の魔力が纏う。
驚いた様子で、バッと私の方へ振り向いた。
困った様に笑ってサッとピースをして、杖を両手で突き刺すように金ピカの鎧たち向けた。
台風が直線的に発生し、全てを風の、自然現象の中に消えていった。