怒ると
「頼も〜!!」
ティアがそう高らかに宣言するのと同時にミルクショコラの閃光が陰陽局の門の結界をパリンと粉々にした。
前までは無属性のミルクショコラの閃光だったが、今は光と闇の属性が付与された。
光は全てを無に帰す。そして、闇は全てを葬る。結果として、防御に意味はなくなった。
「随分な挨拶だね?」
「殺す、殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す」
「落ち着けって、くう」
「だって、空!」
「我が姫は乱心なだけだ」
「陰陽師、空!」
「あれ、あの人どっかで……」
「君も一緒か……正直君のせいで全てが台無しさ。折角作った式神が出番も無く、偽燈火は負けちゃうしさ」
「アナタ知っていたの!?知っていて放置を!?」
「成り代わるつもりだった。陰陽局は日ノ本、お前ではなく、この俺のモノになる計画だったんだよ」
「結局力だけを求めるんでしょう?」
「ああ、そのつもりだ。……そのつもりだったが止めた。どうやらそれは無理らしいからな」
梅ちゃんは困惑していた。殺気が無くなったどころか両手を上げて降参したのだから。
しかし、遅れて気がついた。空の首元にナイフが当てられている事に。
「体が軽いな……。主人格様は融通が効いていい」
「は、ははは。流石は青の魔法使いと言ったところか。完全体だと起源の魔法も桁違いだ」
「ミホさーん。殺しちゃダメですよ。その人は魂を縛りますから。なに、悪いようにはしませんよ?ただ、私は友達を傷付けた人には容赦しないのです」
「うーわっ、忘れてたな。そうそう、ティアってこんなだったな」
「最近は鳴りを潜めてたけど怒ると手に負えないんだった」
「なんでみなさん落ち着いてるんですか!?」
「えー、はい。『魂の束縛』をしっかり持ってきているみたいです。諦めましょう」
「リーナーさん!?」