436/990
月の化け物
「あ、居たよ!」
「ふーん、魔力切れかしら」
「あの規模だもんなー。でも」
「ええ、色の魔法使いならなんなの屁でもないはずの。それに青色は不在だったはず」
「そんなん言ったら白と黄色もだろ」
「白は復活したじゃな……い。青と同タイミングで?」
「んで、その青はティアの肩を持ってると」
「チッ、思ったより大物じゃないのよ……」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「おや、どこかお出かけですか?」
「フン、お前に言う必要があるか?」
「そう言わないでくださいよ、『月の魔法使い』さん。いえ、『月の化け物』」
男がニヤついて言えば、男の目の前に閃光が一線。
着弾地点は元より何も無かったようにポッカリと穴が空いていた。
それに動じること無く男は言う。
「あーあ、この絨毯高いのに」
ギロリと睨みつけその場から霧のように消えたのは、頭部が三日月そのものの正に化け物であった。